目的のない旅への誘(いざな)い

こんにちは。みや(@cottonweed1023)です。

みなさまゴールデンウィークはいかがお過ごしでしょうか。ちなみにわたしは3月末に仕事を辞めてから曜日感覚がなくなり、少々困っています。

さてそんな悩みはさておき、わたしが住んでいる京都ではいま、絵本作家・宮西達也さんの全国巡回展「宮西達也ワンダーランド展」が開催されています。

参考:何度も行きたい!宮西達也ワンダーランド展@京都高島屋 | みやの宝箱

上記ブログ記事にも書いたのですが、わたしはすでに2回、この展覧会へ遊びに行きました。その理由は単純明快で、わたしが宮西達也さんのファンだから。そしてわたしが宮西達也さんのファンになったきっかけは、とある目的のない旅の中にありました。

というわけで今回は少しだけ、わたしの旅の思い出話にお付き合いください。

静岡での目的のないひとり旅

昨年の秋、知人に会うために泊まりがけで静岡へ遊びに行きました。1日目は知人と会う約束をしていたのですが、2日目は夜まで予定がなかったためひとりで三島を観光することに。

最初はガイドブックで目的地を探して計画を立てよう…と思っていたのですが、なんとなくそんな気分になれなかったので目的地を決めずに三島の街をぶらぶらすることにしました。

そうだ、商店街行こう

そこでまず向かったのが商店街。何か面白そうなお店があれば入ってみようと思っていたのですが、結局吸い込まれるように普通の本屋さんに入ってしまいました(笑)

小さな本屋さんを一周したとき、「そうだ、三島が舞台になっている小説を読もう!」と思い立ち、早速スマホで検索。そこで見つけたのが、吉本ばななさんの「海のふた」という小説でした。

ふるさと西伊豆の小さな町は、海も山も人も寂れてしまっていた。実家に帰った私は、ささやかな夢と故郷への想いを胸に、大好きなかき氷の店を始めることにした。大切な人を亡くしたばかりのはじめちゃんと一緒に…。自分らしく生きる道を探す女の子たちの夏。

Amazonの商品説明より引用

舞台が西伊豆、しかも、自分らしく生きる道を探すなんて、今の自分にピッタリじゃないか!

そう思ったわたしは、その本を探して三島で読もうと決意しました。しかし、その本屋には残念ながら在庫がないとのこと。仕方がないので、Googleマップで「本屋」と検索して引っかかったお店を一軒一軒歩いて回ってみることにしました。

1冊の本を探す旅へ

作家として有名な吉本ばななさんが書いている本だし、舞台が西伊豆だからどこかの本屋さんにはあるんじゃないかという希望を胸に歩き出したわたし。しかしそんな想いとは裏腹に、探せども探せども「海のふた」は見つかりません。

半ば意地になっており、気が付けば三島駅から2駅ほど離れた場所まで辿り着いていました。そして「ここを最後にしよう…」と訪れた本屋でも結局「海のふた」は見つからず、とぼとぼと駅へ向かう途中でふと目に付いたのが、佐野美術館で開催されているという展覧会のポスターです。

その展覧会というのが、そのときちょうど三島を巡回していた「宮西達也ワンダーランド展」でした。

軽い気持ちで行った展覧会で、なんとご本人登場!

Googleマップで調べてみると、なんと佐野美術館はそこから歩いてすぐのところにあるではありませんか。そこで、「絵本も好きだし、面白そうだからちょっと行ってみるか」という軽い気持ちで展覧会へ行くことにしました。

そして展覧会場で宮西達也さんのプロフィールを読み、宮西さんがそのときのわたしと同じ26歳のとき、勤めていた会社を辞めて絵本作家を目指す道を選択したことを知ったのです。

わたし自身、「2016年3月末で仕事を辞め、クリエイターとして生きていく」と決めたのがちょうどその頃だったので、なんだか背中を押されているような気持ちになったことを今でも覚えています。

不思議なご縁を感じながら展示物を見ていると、後ろの方から「もうすぐ宮西達也本人によるギャラリートークが始まりますよー」との声が聞こえてきました。なぬ、と思い振り返ってみると、なんとそれが宮西達也さんご本人!

客寄せもご自身でなさっていることに驚きつつ(笑)、ご本人の解説を聞きながら展覧会を見て回れるという幸運に恵まれました。

その場でファンになり、4月に京都で再会することを胸に誓う

ギャラリートークの後にサイン会があることを知り、その場で宮西さんの絵本を購入してサイン待ちの列へ。いざ自分の順番になると人見知りが炸裂して何も言い出せなかったわたしに、ありがたいことに「今日はどちらからいらしたんですか?」と自ら声をかけてくださった宮西さん。

そこから会話をする流れができ、わたしは翌年の3月末に仕事を辞めてクリエイターとして活動したいと考えていたこと、それが偶然にも宮西さんと同じ26歳というタイミングだったことを知りなんだか勇気をもらえたことを宮西さんに伝えました。

優しい笑顔で「頑張ってね」と言ってくださった宮西さんにさらに大きな勇気をもらい、わたしはそのとき(勝手に)こう決意したのです。

「この展覧会が4月に京都へ巡回してきたら、絶対にもう一度宮西さんに会いに行こう。そして、自分の手で作ったものをプレゼントしよう。」と。

あのときの想いを現実に

あれから半年ほどのときを経て、このゴールデンウィークに宮西達也ワンダーランド展が京都で開催され、わたしは宮西達也さんの似顔絵消しゴムはんこを作ってご本人に直接お渡しすることができました。

自己満足かもしれませんが、自分なりの形で宮西さんに「ありがとう」を伝えられたことは本当に良かったと思っています。そして、「消しゴムはんこ作家になりたいんです」と言ってお渡ししたはんこを手にした宮西さんが「あなたならきっとなれますよ」と言ってくださったことが、たとえお世辞だったとしてもすごく嬉しかった。

半年前のあのとき、事前に観光の計画を練っていたら、恐らく佐野美術館の存在も知らずにいたことでしょう。仮にポスターで展覧会のことを知ったとしても、他に行くところがあるからと足を運んでいなかったかもしれません。

直感に身を任せた行動が、想像もしていなかった素晴らしい出会いを引き寄せてくれた貴重な体験でした。

まとめ

目的が決まっているのは決して悪いことではありませんが、時としてそれ以外の情報が目に入らなくなってしまうこともあるものです。

たまには目的意識を捨てて気の向くままに行動してみると、わたしのように思いもよらなかった出会いに恵まれるかもしれません。また、想像もしていなかったようなものに興味を持つ自分に気付くかもしれませんね。

ゴールデンウィーク、どこかへ出かけられる方も多いと思います。計画を立てて効率よく楽しむのも良いですが、たまには何の計画もなく知らない街を歩いてみてはいかがでしょうか。